フランスではホームレスなど住宅のない人達がデモを行った

戦後暮らしが豊かになったと思っても住宅に居住困難な人々もいる

戦後六十数年たつ今日なお、住宅問題は私たちにとって「古くて新しい問題」です。しかも、それはもっぱら「住宅政策の問題」だといえます。そのことを奥り出したのが、二〇〇八年の暮れから翌新年にかけて、東京・日比谷公園に設けられた「年越し派遣村」でした。派遣村は、ユニオンなどの労組や反貧困ネットワークなどが実行委員会を組織して立ち上げ、失業者たちに食事やテントなどの支援活動が行われました。首を切られ、社員寮を追い出された失業者たちが、全国各地から集まり、開催から二日で二五〇人を超えたといいます。

これに先立つ〇七年一月、フランスではホームレスや母子家庭など居住困難に陥っている人たちがパリのサンマルタン運河沿いにテントを張り、「屋根の下で暮らす権利=居住権」を主張するデモンストレーションを行っていました。このニュースを知っている日本人は少ないかもしれません。仮に知っていたとしても、私たちはそれを他人事のように捉えていたのではないでしょうか。

ところが、その一年後に日比谷公園で起きたことはサンマルタン運河での出来事の延長線上にあったのです。しかし、それぞれの政府がとった対応はまるで違うものでした。米国に端を発した経済危機が引き金となって、〇八年末以降、国民の住まいをめぐる居住貧困・居住格差・居住不安が拡大しています。住む場所がなくなり、年越し派遣村に集まった人たちはそれを象徴するものでした。そのように適切な住居を確保できない低所得者をはじめ、正規雇用につけない若年労働者、あるいは高齢単身者が増えているのをよそに、一方では「億ション」が即日完売するような様相はだれが見てもいびつです。
私は新宿 賃貸に住んでますけど、ここはザ・東京という感じですね。これほどまでに高層ビルが密集していて、あらゆる会社や機関がある場所はなかなか無いのではないでしょうか?


この違いはたぶん、彼我の政治家の人権感覚の違いによると考えていいでしょう。日本では憲法第二五条に「(→すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と記し、人権としての国民の生存権を宣言しています。

しかし、政治家や官僚にとっては、それは「建前」でしかなかったのでしょう。かれらが住宅政策を経済政策としていいように利用してきたのは、かれらの人権感覚が希薄であり、その趣旨の実現に本気でなかったからです。生存権を基礎とした国民の居住権保障に関しては、法律学的解釈も消極的で、すでにその議論は終焉しているとの考えが大勢を占めています。

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